ワールドトリガー / 葦原大介
一回途中まで読んだ時は、絵がシンプルだしどうにも熱量がなくて、あまり面白くなかった。ですが、2回目再チャレンジすると、戦略性とか各キャラの個性が見えてきて、中々どうしてハマってしまった次第です。
皆似たような武器を使うなかでも、能力差があったりする部分が面白く、ほぼ同じ武器が多いからこそ、ブラックトリガーの特殊性が際立って、それがまた中二ゴコロを存分にくすぐるのです(私は30代です)。
最大の魅力は、シンプルで分かりやすい絵とシステムと世界観ですか。そう、全てシンプルなのです。
世界観はさすがにもうちょっと掘り下げるのかなぁ。地球以外に世界がいっぱいあって(それは宇宙ではなく)、それが飛び回ってて、地球の日本の特定の市街だけを襲ってくる。ってのはさすがにもう少し理由が欲しいところだ。
地下にリリィ(新世紀エヴァンゲリオン)でもいるのか。
ボーダーに階級があって、個人ランク戦や、チーム戦で上下があるシステムはいいですね。未知の敵との闘いという本筋に沿うサイドストーリーとしては優秀すぎる。
使徒と戦いながら、一方で部活も盛り上がってるみたいな。一作品で二度美味しいみたいな。
また、秀逸だなーと思ったのが、戦闘の際にはそれ用のボディ(戦闘体)が生成されるので、剣で首とか腕とか切られても、グロくないんですよね。なので、読者も戦略のみに意識を集中できると。
それだと戦闘に緊迫感がなくなる(ほぼ死なないワンピみたいに)かと思いきや、戦闘体を解除すると生身になるので、その状態だと一気に緊迫感を高められるというずるいマンガです。とにかくメインよりもサブ要素が秀逸過ぎる、今っぽい作品。
今後の展開によっては、伝説の作品になり得るんじゃないかと、僕のサイドエフェクトがそう言ってます。
拳闘暗黒伝セスタス、拳奴死闘伝セスタス / 技来静也
古代ローマが舞台。主人公の少年拳奴セスタスが、拳闘試合で勝ち続けて自由を勝ち取れるかというストーリー。
セスタスはダメージを逃がす柔軟性と俊敏さを活かした正確な打撃、運動量が豊富など拳闘者としては異質の素材ではあるが、幼さや体格が華奢である故の非力さ、打たれ弱さという課題がある。また精神面もまだまだ脆い。
まぁ状況が過酷過ぎるんですがね(^^;。
雇い主にもよるが、拳奴の生活環境は劣悪だ。
当初のセスタスの雇い主はとりわけ酷く、拳奴は檻のような場所に入れられ、家畜のように食事を与えられていた。
また拳奴同士の練習試合に負けただけで、殺されるような場面も・・。勝っても焼き印入れられたり。
まあそれが拳奴の反乱に繋がったりもしちゃうんですがね。
本作品のメインを占めるのは、やはり格闘描写です!絵は一巻の一話目から文句なく上手い!分かりやすい!
だから、人にも安心しておすすめできるんですよね。「〇巻から段々絵が上手くなるから、そこまで我慢して読んで!」、
みたいなのがないから。
豊富な格闘知識に基づく格闘描写は、正に痛快ですね。一戦一戦にバリエーションとストーリーがあって、飽きさせることがない。
そしてこの作品を語る上で、絶対に欠かせないのが、セスタスの師匠<ヌミディアの拳狼>ことザファル先生の熱いお言葉です。
先生はタダ者ではなく、キャリアは短いものの、かつては最強の拳奴と言われた人なんですね。
しかし詳細は未だに語られてはいないものの、当時のパンクラティオン(総合格闘技)の王者、<アッティカの金獅子>ことデミトリアスと異種格闘技戦をした結果、ヒザを破壊されてしまい、拳闘者としてのザファルは死んでしまったわけです。
歩くのに補助器具を必要とする割に、たまにケンカをするとちょいちょい強いんですがね。
このザファルの拳闘知識、経験のおかげで、セスタスは辛くも生き残り、闘いの最中の先生の解説(ほとんどモノローグの心の声ですが)で、戦闘シーンの描写にも厚みが加わるのです。
セスタスは幼少の頃よりこのザファルに育てられ、生き延びるための拳闘を心身共に叩き込まれているわけですが、まずどうやら実の子どもではないようなんですね。
なぜザファルが自分の全てを懸けて、セスタスを守り生かそうとしているかは、タイトルが変わった第2部になった今でも、詳細には明かされていない・・。かれこれ10年以上気になってしょうがないし、涙無しには読めないエピソードが今後語られることでしょう。
ザファル先生だけでも10,000字は語れそうですが(最早ちょっとしたレポート)、他のキャラの魅力もハンパないんです!
闘技者として、セスタスのライバルとしての重要人物がデミトリアスの息子のルスカ。セスタスとは同年代。
デミトリアスの息子なので、当然総合格闘技を身に付けており、拳闘だけで戦うセスタスの壁として、幾度も立ちはだかります。父親は皇帝の親衛隊(衛帝隊)隊長のデミトリアスなので、身分には恵まれていますが、非情な父親のせいで、セスタスとはまた違った意味での過酷な運命を背負わされています。幼少期に皇帝の身代わりにされたりね。
もう一人の主人公と言っても過言ではないでしょう!
いい漫画って、主人公が二人いると思いません?一歩と宮田、ガッツとグリフィス、アッシュと英二、ユウとマサキ(ショウゴ)、信と政とかね。
他にも格闘キャラが軒並みカッコいいんです!やはり衛帝隊は人材豊富ですね。
ちょっとダークなキャラのマケドニアのソルレオン。格闘というよりかは暗殺術のエキスパートなので、裏で暗躍するシーンが多いのですが、マトモに戦っても最強説あり!
飛んでくる矢を素手でキャッチしたり、背中を殴って相手の心臓を止めちゃう無双っぷり。
中二ゴコロをくすぐりますよぉ。
そして<神速の住人>アドニス!本作には珍しい軽薄なチャラ男キャラですが、実力はピカイチ。
才能の権化で、対戦相手が触れることすらできぬ軽快な戦いっぷりは何度見ても爽快です。彼もまた、“優速”に頼るセスタスの強力なライバルですね。
そして忘れてはならないのが、影の主人公と言ってもいい皇帝ネロの存在です。
セスタス、ルスカと同年代。ローマの最高権力者であるからこそ命も狙われ、母との確執もあり、本来は芸術を愛する大人しい性分の少年としては、辛い出自となってます。最近になって、将来の<暴君ネロ>としての萌芽が出てきた感はありますね。
彼がいるからこそ、当作がただの格闘漫画でなく、当時のローマの文化や歴史を学ぶことのできる重厚な物語を成り立たせていると言えます。
最新のストーリーでは“ローマで一番強いヤツ”、を決める大会が催され、ますます熱い展開になってます。これまで戦った相手が集結したり、更に魅力的なキャラが現れたり!難しく読まなくても、純粋にアクションがめちゃカッコいいマンガです!
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ホーリーランド / 森 恒二 <史上最もリアルな格闘マンガ>
アラフォーなのに、飲んだ帰りの電車で読んでたらなんか泣いちゃったんですよね。
イジメられ、自殺寸前まで追い詰められた主人公(神代ユウ)が、引きこもってボクシングのワンツーだけを本を読んで身に付け、ケンカを通じて自らを取り戻していくストーリー。
やはりいい作品というのは、絶望の描写が、胸に迫るものではないだろうか。いじめの描写は長いものではなかったが、人の絶望というものを、端的に表現していたと思う。
“無感になりたくて”自殺を試み、“閉じ込めていた、あらゆる五感が喚きだし”失敗する。死ぬことを土壇場で恐れたユウが、慌てて必死で金網の内側によじ登って戻ろうとする一幕。作者が同様の精神状態で、同じ行動をしたことがなければここまで臨場感を持っては描けないのではないか。
もう一つ、印象的なシーンがある。街でケンカをしながらも、ようやく友人を得たユウ。しかしあろうことか、その友人がヤンキーの的にされ、リンチで大ケガを負ってしまうのだ。
絶望し、部屋の隅にうずくまるユウ。ここで泣いたりとか、頭を抱える動作はありがちだと思うんです。ここでユウは頭に手をやり、自分の髪の毛をグシャっと掴むんです。
身に覚えがありませんか?
絶望で頭を抱える。でも誰かにすがりたい。でも一人だから、他に掴むものもない。そして自分を許せない気持ち。後悔。
そんな感情が、この動作に込められているんだと思うんです。
この繊細な描写で、僕は一気にホーリーランドが好きになりました。
格闘技に明るく自分でも実際やっており、どうやら街のケンカもしていたらしい作者なんですが、実際はとても内向的で繊細なことが分かります。
その後は、ユウが葛藤をしながらも路上で技を磨き、様々な格闘技者と試しあいます。それらの格闘技の描写と作者の解説が鋭く、<史上最もリアルな格闘漫画>、などと呼ばれたりします。
ここで突然ですが、独断と偏見で、ホーリーランドのベストバウトを決めたいと思います!笑
19巻の中で、タイマンだけで27戦以上あるのですが、その内のベスト3で。
第3位 ショウゴ VS リュウ
ある意味で、最もリアルな結末に至った一戦。
この闘いで、長きに渡ったユウとショウゴの溝は埋まるも、取返しの付かない結果も同時にもたらしました。
ユウの親友であるショウゴが、子どもの時に亡くなってしまった父親への想いや、強さへの偏ったこだわりを受け入れ決別する闘いとなりました。
これまでも決して弱く描かれていたわけではない空手ですが、ここで更なる戦略性と実戦での強さを見せます。
本来なら使うべきでない技を繰り出すショウゴは、彷徨っていた期間に犯した罪の償いを、自身に求めているようでした。
わだかまりが解けたばかりの親友が、逮捕されるのを目の当たりにするユウ。大団円に向けての加速を予見させる一戦でした。
第2位 ユウ VS マサキ
ほとんど正気を失っているユウを、イザワマサキが圧倒的な力で止める一戦。 ユウに取って、暗闇を照らす光であるかのような存在。
かなり初期での衝突となりましたが、路上での最高峰という試金石を示す上での欠かせない闘いでした。
はじめの一歩で言えば、宮田君と一歩が初期に戦ったような感じですね!(最後もこの二人の戦いであるべきだと思うんですが)
完全無欠に思えたマサキにも失策はあり、何より心に大きな傷を抱えていることに気付かされたユウ。
この闘いがホーリーランドの最後を飾るのに、この上ない布石であり、彩りを添えることとなります。
第1位 ユウ VS ヨシト
やはりこの一戦でしょう。10年ぶりに読んでも、電車で号泣してしまいました それまでの戦いとは、一線を画すものがあるんですよ・・。
やはり最大の魅力は、敵であるヨシトの高い実力と清々しいキャラクターでしょう!またプロを志すヨシトは、現時点でのユウの人生の先輩と言っても過言ではありません。
それまで裏の“夜の世界”でユウを導く存在であったイザワマサキに対し、輝かしいばかりの表の“昼の世界”を歩みだしているヨシト。
ヨシトは街への未練を断ち切るべく、街の顔であるユウに勝負を挑んだ。その姿もまた、未来のユウを予見させるものなのです。
またこの戦いは、ユウが自主的に再戦を挑んだ数少ないケースで、尚且つ純粋な動機であったのが初めてでした。 (長田戦の際は親友を侮辱され、また不本意な形で一方的にやられた陰欝なモチベーションがあった。)
ヨシトとの闘いの中で、ユウはそれまでの対戦者から得られた技術や経験を存分に発揮します。そして、イジメられ一人の友達もいなかった過去の自分に比べ、今の自分の中に多くの出会いが積もっていたことに 気付きます。
そして勝負は拮抗したまま決着へ・・。この勝敗には作者も悩んだのではないでしょうか。
一戦だけ切り取れば、本当にどちらの勝ちでも良かったのだと思います。しかしここは、“不良狩りは負けても必ず復活する”、ストーリー を維持するため、内容的にはヨシトを優勢に見せつつ、ユウが勝ちを拾う形を演出したのだと思います。
対戦後、ギャラリーは持てる全てを出し尽くした二人に、惜しみない賛辞を送ります。
負けたヨシトも納得し、今度は振り返ることなく自分の道を歩みだします。街に未練を残す者たちへ、背中を押すメッセージを 残して。
HUNTER×HUNTER /冨樫義博 連載中35巻 (ついにアメトークに!笑)
行き当たりバッタリで計画性のカケラもないし、たまにラフ画で掲載してくるし、休載しまくりのに、全て許せる。
【2018年版】絶対読むべきオススメ漫画ランキング・ベスト18 ※30年5月5日更新
- 未完、完結は意識しません。
- 同じ作者の作品もあり。
- 全て私の主観です。
- 随時更新していきます。
何事も、一番を選べと言われると悩むものですが、この作品に関しては譲れない。お前がナンバーワンだ、『ベルセルク』。
序盤のグロさで音をあげそうな、ベルセルク初心者達に告げる。まずは8巻まで読め(命令)。
そこで気付くはずです。この作品はそこらのグロを売りにした浅薄な代物でない。常軌を逸した異なる才能を持ち、それが故に孤高かつ孤独な二人の男の、イビツで至高の友情賛歌であることを。