想像ラジオ / いとうせいこう

何気ない日常は中々描かれない。何気ない死はもっとだ。そして‘何気ない’とは、‘かけがえがない’ということ。

 3.11は風化しつつある。或いは原発などのトピックに集約されつつある。〈死者を抱き締める〉とは前向きな思考ではないかも知れない。ただ前を向くということは、忘れ去ることと必ずしも同義ではないだろう。

 私たちは背負うこと、背負わせることに無自覚だ。貧困を、リスクを他者に押し付け今を享受する。失われた人々に思いを馳せることもなく。

 〈死者と生者が抱き締めあう〉ことができなければ、生者と生者が手を取り合って前に進む日も訪れないのかもしれない。