アキラとあきら / 池井戸 潤

 『半沢直樹』、『下町ロケット』などで言わずと知れた池井戸潤のお仕事小説。こちらも半沢同様、銀行目線で語りつつ、主人公の生い立ちから、会社経営の要素を盛り込んだ内容です。

 

 経済的に恵まれた暎(アキラ)と、父親の会社の倒産で幼い内に、人生の辛酸を舐めた彬(アキラ)の人生が交錯します。彬の幼少期の倒産体験は身につまされるものがあります。自分の小学校のクラスにも、家庭の事情で急遽転校する子がいたので、当時は良く分からなかったけども、あの時どんな思いだったのか、今はどうしているのか、大人になって今更思いだしてしまいました。

 

 貧しいながらも、子どもらしい健やかさと、色んな人の手助けを得ながら成長していく彬の半生が胸熱でしたね。後半は著者お得意の、銀行業務と二人のアキラの生い立ちを絡めた、緻密な内容が展開されます。個人的には、二人の子ども時代の描写の方が、文学的でやるせなくて好きですね。業界の話は、どうしても込み入ってしまうので。

 

でも続きが気になって、あっという間に読了しました。池井戸作品の中でも、おすすめです。