ザ本ブログ

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永遠の僕たち / ガス・ヴァン・サンド監督 加瀬亮 出演〈2011年〉

非常に難解な作品。日本と欧米で評価が分かれるとも。

 

登場人物は末期の脳腫瘍の少女。事故で両親を失った少年。少年にしか見えない、特攻隊の少年の幽霊。

 

ほとんど3人だけで、物語は進みます。

 

このメンバーで、どんなストーリー展開が可能なのか、本当に謎でしょう笑。

導入は少年が、自分に関係のない他人のお葬式に勝手に参加している場面から始まります。そこで末期の脳腫瘍の少女に出会い、二人はいびつながらも、親密な関係になっていく。

 

一見ワケの分からない、登場人物とストーリーですが、物語が進むにつれ意味を帯びてきます。少年は両親と共に事故に遭い、一人だけ生き残ったものの、意識不明の間に葬儀が終わってしまった。従って、彼は親の死に目に会えず、別れを惜しむことができなかった。不条理な死の意味を知りたくて、彼は他人の葬儀に参加していた。彼にとって、両親の死は不条理で無意味に思えた。特攻隊の亡霊は、死に意味付けをした死者の代表として、顕れていたのではないか(特攻が強制だったかの議論は、ここでは不要。あくまで少年の認識の存在なので)。

 

また、少女は余命先宣告を受け間近に迫る死に対し、自分なりに意味を見いだそうとしていた。彼女はダーウィンの進化論を好んだ。進化論の中では淘汰された動物でも、「それが最適ではなかった」ことを示す礎と考えることができるからだろうか。

 

このように、荒唐無稽に思える設定や描写の中に、二人の死生観に対する模索の比喩が込められている。

 

正直予備知識なく観賞すると、かなりワケが分からないです(少なくとも自分は)。
後から考察を読むと、なるほどーってなる作品。読み解きが好きな方は、ぜひ見てみて下さい。