ザ本ブログ

読書をメインに。他、雑記などをアップしていきます。

真っすぐヒネくれた主人公と、脱力感ただようキャラ達が推し! 『レッドブルー』 / 波切敦

 

 格闘マンガは数多く読んできたけど、『レッド・ブルー』は、少々異色。
主人公の青葉君が、まっすぐひねくれている笑。あと、登場人物がみんなどことなく力が抜けていて、ラクに読めるんですよね。日本の、そこらへんの高校生たちが主役で、悩みも等身大。

 

 そして作者はネアカと体育会系がキライだと思う笑。どことなく、カゲやひねくれがある高校生達に感情移入しやすく、無駄な恋愛要素がないのが良い。


 主人公がライバル視する相手は、格闘界の若手のホープで、教室ではもちろんスターのイケメン高校生。イジメられている主人公を助けては、なぜやり返さないのかと諭す、まっすぐ主人公キャラ。


 こうした真っすぐ主人公タイプのデリカシーの無さに、ノーを突きつけたい根暗作者の希望が、青葉君だと思うんですよね笑。
 

 主人公って結構身勝手で、デリカシーない人多くないですか?

 

 次に勝てる保証もないのに、地球を滅ぼしに来たサイヤ人を「また戦いたい」とワガママ言って生かして帰しちゃう人とか。

 俺は長男だ!とか言って、次男・三男・長女・次女その他を婉曲的にディスる人とか。
 一人で突っ走って、結果的に非戦闘員(気象予報士とか)に望まぬ戦闘を強いるゴム人間とか。


 ホラ!ロクな人間いないじゃないですか!あんなん主人公補正でどうにかなってるだけで、上げ底なければただの戦犯ですよ。と、作者は言いたいに違いない←思い込み。

 

 とゆーわけで、キラキライケメン高校生などは、格闘経験浅い根暗モブ主人公に気持ちよく倒されればいいのですが、きっと中々そうはならないんだろうなぁ笑。
ひねくれ作者の、予想付かないストーリー運びに期待!あと。カラー表紙の色のセンスも好き。

『ベルセルク』の遺志を引き継ぐ親友の想いが熱すぎる

 昨年、『ベルセルク』の作者である三浦健太郎氏が、54才という若さで亡くなった。

 

 ベルセルクと言えば、全世界で5千万部売れているダークファンタジーで、重厚に描き込まれた絵と世界観、神懸かり的な展開で世界中に多くのファンがおり、もちろん私もその一人だ。あまりにも濃密に描き込む作風のため筆が遅く、連載開始から30年経っても、中々ラストが見えてこない(笑)。
 

 それでも、少しずつでも先が読めるならと、毎巻楽しみにしていたのですが。。最も好きな漫画だけに、絶望もひとしおでした。
 不謹慎な考え方ですが、凄いスポーツ選手が絶頂期で亡くなったとしても、いずれ同じような記録を打ち立てる選手が現れるだろうと思います。
 でも、一つの作品が途切れたものを、誰かが続けて創作することは通常不可能です。それは作者の頭の中にしかないのだから。凡庸な作品なら、無理やり終わらせてしまうこともできるでしょうが、数多くある漫画の中で、『ベルセルク』は次元が違います。そう考え、昨年は悲しみに打ちひしがれていました。。

 

 しかし今年、驚愕の発表がされました

 

 なんと『ベルセルク』の連載が再開されるというのです。
 初めは「どういうこと?」、と思いました。クオリティの低いスピンオフ作品なら、むしろやめて欲しいとすら思った。俺の『ベルセルク』への執着心は、ガッツのゴッドハンドに対するソレと同等だぞぉ!中途半端は許されん!

 

 ここでもう一人の人物を紹介しなければなりません。『ベルセルク』の作者、故・三浦健太郎氏の盟友、森恒仁氏です。この方もプロの漫画家で、三浦先生ほど知名度はありませんが、『ホーリーランド』『自殺等』『無法島』『創世のタイガ』など、濃いテーマの作品を描いており、この方についても私は大ファンです。

 

 そして森先生と三浦先生、この二人は幼馴染で親友なんです。

 

 このことが、『ベルセルク』の奇跡の復活のきっかけとなりました。『ベルセルク』を諦めきれない弟子達(アシスタント達)が、絶筆となった回を最後まで描き上げ、森先生のもとに持ち込んだのです。その回は、後半はまだ人物も描かれておらず、完全にゼロから構成した形になりました。森先生はそれを聞いた時、「正直厳しいだろう」と思って原稿を手にしたようです。三浦健太郎の画力を、弟子とは言え、他人が再現できるはずがないと。

 

 しかし原稿を読んで、考えが変わりました。三浦健太郎の『ベルセルク』が、ここに在る。弟子たちは、三浦健太郎の技術と遺志を見事に引き継いでいたのです。

 

 三浦先生が亡くなってから、森先生は忸怩たる思いを抱えていました。道半ばにして亡くなった親友の作品に対して、どう向き合えばいいのか。弟子たちは制作の現場の中で、作品の今後の展開を、断片的には聞いていました。しかし、ラストまでを三浦健太郎本人から聞いていた人物は、親友である森先生ただ一人。せめてストーリーを文章で発表しようかとも思い悩みましたが、弟子たちの執念に触れ、覚悟を決めました。自分が監修し、弟子たちの制作で、『ベルセルク』を最後まで描き切ろうと。

 この超絶胸熱展開について、まとめます。
 親友で幼馴染の二人が、プロの漫画家になって同じ雑誌で掲載し、片割れが亡くなると、残った親友がその作品を最後まで受け継ぐ。上手く出来すぎてて、実話とは思えない。この実話が映画化されたら、涙なしで見る自信はない。
 ぜひ、映画化お願いします。そして三浦先生に尊敬と崇拝と哀悼との意を〝捧げ〟ます。

ONE PIECEが苦手な理由を、ちゃんと読んで考えた

苦手意識が中々拭えない作品だったのですが、アプリで61巻無料と大盤振る舞いだったので、これを機会に一気読みしました。中々辛かった・・。

 

空島までは、読んだことがあったのですが、全くハマらずそこで挫折。そこから、一切手を付けることはありませんでした。ほとんどあらゆるマンガを読むのですが、なぜかワンピだけ手つかず。たまに話題に上ることもあるし、読まなきゃなぁとは思ってたんですが。

 

苦手な理由としては、まずは絵柄がありますかね。嫌いではないのですが、なんかのっぺりして読みづらい。スクリーントーンとかあまり使わないからかな。それが味でもあるんですが。奥行きが感じづらいんですよね。なんか絵本みたい。

デフォルメされた女性の表現もあまり好きじゃないかも。ほとんど全員折れそうなほどくびれているか、それか巨漢かのどちらか。この辺りは、手塚治虫的表現を踏襲しているのかもだけど。

 

バトル漫画の部類のはずですが、ルフィを除いてアクションも微妙に感じています!

ルフィのゴム人間という設定と、それに付随したユーモラスなアクションは、この作品のヒット理由の一つといって間違いないですが、他がどうも・・。

 

ゾロの刀のシーンは、なんか(ダサい)技名を叫んだらもう切り終わってますよね。しかも違いが分からない。飛び道具とか出始めたし。口の刀もまあ相手に当たることはなさそう。サンジも似たようなもんですよね。よく分からん(ダサい)技名絶叫→もう蹴ってる。まぁ能力バトルの中で、ただの剣とケリが入ってる時点で、中々描写が難しいのかも知れませんが。

あと、ナミとかウソップとかの弱キャラを、強敵との闘いに放り込んで、なんとか勝たせる件もあまり好きじゃない。

少年マンガ、しかもファンタジーに過剰にリアル感を求めるのは野暮とは承知ですが、緊迫感や納得感は欲しいんですよね。味方を丁寧に登場させようとするあまり、敵キャラが蔑ろになっている気がする。そう、敵キャラがあまりカッコ良くないんだよなぁ。クロコダイルと大将達は、中々迫力あったえけど。

 

能力バトルなら、ハンター、幽白、ワルトリ、結界師、ARMS、ヒロアカ、ナルトとかの方がいいかな。剣戟の表現ならあずみ、ベルセルクとか(キングダム、バキ、バガボンド、セスタスはまたジャンル違いか)。冒険譚としては、マギの方が世界観が凄まじい。技に特化するなら、るろ剣的表現もアリだったかも。

バトルではなく、ストーリーがメインなのかも知れませんが、そうすると緊迫感のないバトルは尺のムダ感がしてしまう。能力設定の気合入れ感は、大分ルフィに偏ってますよね。

 

さて肝心のストーリーですが、かいつまむと「宝物を目指して、仲間を増やしながら島々を渡っていく」ってなもんですよね。込み入っている話が優れてるとは限りませんが、シンプル過ぎてどれだけ読んでもストーリー展開に驚くことはなかったなあ。

そして最も受け付けなかったのが、サンジとかチョッパーのイベントが泣けるという世論(笑)。正直、イヤ別にって感じだし、ここら辺はワンピースファンの言動に白けてしまっただけかも知れない。人の感想など知らずに、イチエピソードとして読み流していれば良かったかも。

 

その他のエピソードもなあ。クジラが50年待ってるとか、巨人が100年戦ってるとか。人魚姫が10年こもってたり、ガイコツが数十年さまよってたり。やたら経過時間の長さによって美談みたいになってるけど、それはピンと来ない。

全員問題解決能力なさすぎじゃないか?ってかバカじゃん。主人公達が訪れるまで、押しなべて停滞させておいて、停滞期間の長さでエピソードの重さを表現する。ちょっとそういうインスタントな感動は受け付けない体質です。ってかそこに至るまでの境遇が浅すぎて可哀そう。

 

イチャモンだけで、とんでもない文字数になりそうなので、そろそろ楽しめた部分も!

作品通じて一貫しているテーマとして「権力への反駁」があると思います。自分たちの目的を阻むものがあれば、それが王様だろうと神様だろうと、決して後に引かない。

そうしたところに、読者はカタルシスを感じるのだろう。

 

ちなみに、ワンピースが好きと言っているオッサンは、大概あまり好きじゃないことが多かったような。漫画でカタルシスを得るだけ得て、現実では力あるものにおもねるだけなんだもの。

作品を見て、スカッとするだけの楽しみ方もあるかも知れんけど、オッサンが少年マンガ読んでそれだけじゃなあ。現実に何らかの形で昇華しないコンテンツの摂取なんて、虚しくないかな。

そりゃ大人なんだから、マンガとかドラマみたいに正面切ってカッコ良く向き合える人間なんて限られるだろうけども、誰だって何らかの形で不条理と戦うことはできると思うんです。

 

脱線しましたが、他にいい所は・・・。

ロビンを助けに行くエニエスロビーの辺りは盛り上がりましたね!でも無人のメリー号が、都合良く現れるのは無理があってちょっと。ウォーター7の大工の一人が、麦わら達をサプライズ感動させようと、無人を装ってメリー号に最後の航海をさせるとかなら良かったのに。その演出に、ロビンだけ気づいちゃうけど、ウソップ達を慮って敢えて言わないとか。

 

インペルダウンからの戦争編は、これ以上ないくらいの迫力でしたね!あれ以上のエピソードを描くことができるのか疑問です笑。

 

今の所、ストーリー的には平べったい印象ですが、もっと短期スパンで黒ひげとかドラゴンを本筋に絡ませて行くと、作品としては内容が濃くなるのかも知れない。やたらサブエピソードで冗長になっているのは、作者の性格故なのか、集英社の悪しき風習なのか。空島とゲッコーモリアは長くて退屈で拷問だった。

 

本作のヒットの最大の理由は、全世代向けだからでしょうね。小数の自分みたいなオタクのみが、イマイチはまらないですが、市場規模から見たら微々たるもの。

後は、それぞれ推しメンが持ちやすいところですかね!個々のキャラ一人一人に、必ずセリフを言わせる。途中で死んだり脱落することがほぼないから、安心して推し続けることができる。そして、それぞれに必ず見せ場を作る。これは女性ファンの獲得に、非常に有効だと思います。

 

今まで何となく読めなかった人でもアプリなら結構いけるかなと。隙間時間にサクサク読めるし、面白くない部分は流し読みできる。今止めたら、二度と手に取ることはないと思って気合いで読んだら、何とか70巻くらいまで読めた。ある程度読み通せたことで、苦手だった理由も俯瞰して分析できたし、人気の理由もなんとなく分かって良かったです。

読まず嫌いだった人も、騙されたと思って読んでみては。

お~い!竜馬 / 小山ゆう

なぜ今更「おーい竜馬」なのかというと、先日「AZUMI」(あずみの続編)を読む機会があったんですよ。
AZUMIはまあまあ好きですが、それほどでもないです。でも、坂本龍馬が少しだけ登場するシーンがありまして、それがすこぶるカッコ良かったんですよね!
北辰一刀流免許皆伝の剣の達人なのに剣は抜かず、肩ひじ張らない愛嬌さで人を引き付ける。

 

出た回数はわずかなのに、とても引き付けられました。そして作者の竜馬愛を感じずにはいられなかった笑。

これはもう、「おーい竜馬」を読むしかないなと。そしてさっそく読破。

 

結論から申し上げますと、最高の逸品でございました。
子ども時代の序盤は、さすがに迫力に欠けてやや忍耐を求められますが、ある事件が起こり竜馬が意識を改めた辺りからは、その魅力を存分に発揮し始めます。


絵柄が古いのは、自分は気にならなかったですね。そもそも時代劇というのもありますが、アクションの描写が、明快で迫力があるので、現在の作品に全く見劣りしません。
ってかこういう剣術の描写をする人ってすごいですよね。自分がやったことなければ、中々こうは描けないと思うんですが。玄人から見ても、剣術的に正しい動きをしているのだろうか。


印象的なエピソードはいくつかあります。
作者としては、「世界の海援隊をやるかいの」辺りが最高潮なのでしょうが、自分は岡田以蔵がシーンが一番刺さりました。とは言え、かなり盛った感はありますが。
剣術には優れているが、人間的にはかなり幼い以蔵が、処刑の日を恐れながら投獄されている時に、乙女姉さんから渡された手紙の内容がグッと来ましたねえ。
それに勇気づけられた表情をしたかと思えば、処刑で牢から引きづり出される時には、獣のように怯える以蔵。
その素直さが、哀れみを誘うのです。
そして河原での処刑の際に、以蔵が乙女姉さんのために見せた、最後の意地!ほぼ丸腰なのに、帯刀した武士を狼狽えさせる気迫と技術。震えましたね。ここが、自分が一番震えた瞬間でした。竜馬ではないという笑。
以蔵さんカッコ良すぎ!って思って翌日Wikipediaで調べてみたら、作中の人物とは打って変わって、中々のクズ人物でございました。いいんです、創作なんだから。俺の感動はウソじゃない。ここが歴史マンガの難しいところ。


あとは、竜馬が亡くなった同胞の亡骸を埋めたあとに、「俺の背中にしがみつけっ!」ってくだりも最高でした。
あんなセリフ、言ってみたい。
作品が世に出てから時間が経過しているので、その後の研究で史実と違う部分も出てきてるだろうし、作者の思い入れでゆがめられた人物像もあるでしょうが、それはさておき一つの作品として、存分に楽しめます。
勝海舟との最初の別れのシーンも良かったなあ。通信手段が発達した現在と違って、別れのアイサツも命懸けってね。不便さに色づけられたドラマが羨ましいとちょっと思ってしまう現代人。駅の待ち合わせですれ違うカップルとかね。話はそれましたが、「お~い!竜馬」ぜひ読んでみてください。 

ベルサイユの薔薇 / 池田理代子

とりあえず名作ち言われるものは、一通り読んでおかなくてはね。と重い腰を上げて、読んでみました。

 

古い作品は絵柄が一つのハードルになってしまいますよね。マンガの作画の技術や表現技法は、日々進歩しているわけで。手塚治虫の作品は素晴らしいですが、スラムダンクやドラゴンボールも劣らず素晴らしい。そして現代に近づくほど、感性的にも読みやすいのです。

 

目がデッカく、やたらキラキラしている少女マンガの原点のようなベルバ薔薇は、当初はおっさんのはかなり読みづらいものに思われました。が、やはり慣れとは面白いもので、ストーリーに引き込まれるに連れ、大分気にはならなくなりました。

 

時代考証の正確さは分かりませんが、教科書でしか知らないフランス革命の舞台裏を垣間見ることができるのは、単純に面白い。昔の世界史の記憶を引っ張り出されて、尚且つ細部が補填されるのは、脳トレに良さそう笑。

 

貴族の贅沢っぷりは酷いですね!格差も現在もありますが、目の前に飢えてる人がいるわけではないですからね(世界には多くいますが。日本で言えば、相対的貧困か)。

それにオスカルが気付く場面があるんですが、おせーよ!って感じですね。まぁ生まれついてから受けた教育の観念を払拭するのはそれほど難しいということでしょう。

 

んで影の主人公はアンドレです(個人的に)!って誰もがそう思うと思ったんだが。どうです、ベル薔薇ファンの皆様?(^^)