ザ本ブログ

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「なぜ?」から始める現代アート /  長谷川祐子

草間彌生とか村上隆以外に、パって思い付く現代アーティストってあまりいないけど(この二人はもはや巨匠か)、ルネッサンス期の宗教絵画を観賞するのとは、また別の感覚がありますよね。

 

金沢21世紀美術館とか、青森現代美術館に行ったことがありますが、知識の前提が必要なく、観たそのままのイメージで楽しめるのがいい。むしろ先入観を与えずに、“気づき”を与えるのが彼らの目論みなのだろう。そして、それは各々違っていて良い。それどころか、鑑賞者の観点が、別の視点を制作者にもたらすのかもしれない。

 

あるいは政治的なメッセージを込めたっていい。パトロンが必要とか、生活のために制作者以外の意思が多分に入らざるをえなかった時代と違い、今は比較的マネタイズの手段がある(まぁまだまだ苦しい生活を強いられているものが大半だと思うけど)。

 

でもアートの行く末はどうなるんでしょうね。美術館に足を運んで観賞するスタイルは、廃れていくんだろうか。なんとなくだけど、例えば街のそこかしこに誰かの作品が置かれていて、ネットで“いいね”したりすると制作者の収益になるとかいいのかも。アートがより身近になり、制作者の生活に寄与できるかも。

作品は、多くの人の目に触れてナンボだろう。今も彫刻とかあるっちゃあるけど、正直誰かに気づきを与えるものにはなっていない気がする。その土地に根付いた、より明確なメッセージを発するものの方がいいのだと思う。

 

そして理想は、あらゆる工業製品や、人が日常的に作るもの(たとえば料理とかでも)に、アートの発想が入ると良い。自分が気づかなければ、相手に気づかせることはできない。それが、細部へのいたわりや、思いやりにもなっていくだろうから。