ザ本ブログ

読書をメインに。他、雑記などをアップしていきます。

チョコレートドーナツ / トラヴィス・ファイン 監督 

複数の差別について、描いている映画。
LGBT、障がいがメイン。人種差別も少々。
ゲイのカップルがたまたま知り合った、ダウン症の少年を育てようとするストーリーは斬新。
いつも思うのは、こうして障がいやLGBTなどと書いている私自身、本当に差別意識はないのかということ。

 

多分あります。いや、絶対にある。

 

津久井やまゆり園で障がい者が多数殺傷される事件があり、犯人の障がい者に生きている意味がない等の言動は 衝撃を与えました。もちろん、そんなことはないと断固として反対する言説が出ましたが、そう言い切れるのは 当事者(自ら、或いは親族等近しい者が障がいを持っている場合やそうした職務に従事しているなど)だけかなと思います。

 

現場は過酷だし想像以上、いや想像を絶する場面もあるだろう。
実際、何も意思表示するすることが出来ない人たちと接したことはあるが、彼らが“生きている”ということに対して 積極的な意味を見出すことは、個人的には難しいと感じた。


所詮自分が、当事者ではないからだろう。


もちろん全てを一緒くたにはできない。ある程度の支援によって、快活に生活できる人から、ロックドインシンドローム(閉じ込め症候群) まで、障がいは千差万別だ。むしろ個性と捉えて、たくましく生きていく人もあるだろう。

この作品はダウン症を、“ちょっと足りない人”と感じていた自分の固定観念差別意識を変容させるには十分だった。

自分の幸せを純粋に願う彼の姿は、人を微笑ませるものだった。
ハッピーエンドを望む彼の優しさは、あらゆるものに向けられていた。

誰もが、平等に生きることのできる社会。

シンプルで綺麗だが、言葉ほど単純で簡単ではない。
自分の頭の中から差別意識を撤廃することだって、思うより難しいはずだ。
一歩ずつでも、こうした作品が世にでることで、人々の意識は変わっていくのだと思う。