ザ本ブログ

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成功者の告白 / 神田 昌典

これほどストーリーで読ませるビジネス本があるとは思わなかった。

著者が起業し、会社を軌道に乗せ、成功にいたるまでの実体験に基づいたフィクション。 当時は無我夢中で気づかなかったであろう経営のメソッドを、後年客観的に分析したのだろう。

実体験に基づいているから、一つ一つのエピソードが胸に刺さる。
とりわけ優れていると感じたのは、会社の成長に伴う起業家の家族の変化をも、システマチックに分析している点だ。

分析と言っても、それは冷たい視点ではなく、幾千もの社長と接してきた著者だからこそが知り得た、起業家とその家族が陥るパターンを読み解いたものだ。
その中で企業(部下)にも家族(子ども)にも、成長の途上にあっては、まずは母性的愛情が必要だと訴える。

印象的だったのは、夫婦仲が悪いと、子どもがそれを解消しようと無理にいい子になったり、グレたり、或いは病気になったり
すると。病気に関しては意外だったが、家庭の不和が子どもにストレスを与えたら、心身に変調を来すのは、当たり前なのかも 知れない。


人間は仕事とプライベートで体が半分に分かれて生きているわけではないので、ビジネスの不調がそのまま家族の不和につながるのは、半ば必然だろう。

(私のように)普段ビジネス書などを手に取らない方も、ぜひ一読して欲しい。これは無機質なハウツー本ではなく、若手の起業家による、会社と家族の危機と再生の物語。それを先駆者として見守る指導者の視線が、温かくも複雑なのだ。