ザ本ブログ

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ONE PIECEが苦手な理由を、ちゃんと読んで考えた

苦手意識が中々拭えない作品だったのですが、アプリで61巻無料と大盤振る舞いだったので、これを機会に一気読みしました。中々辛かった・・。

 

空島までは、読んだことがあったのですが、全くハマらずそこで挫折。そこから、一切手を付けることはありませんでした。ほとんどあらゆるマンガを読むのですが、なぜかワンピだけ手つかず。たまに話題に上ることもあるし、読まなきゃなぁとは思ってたんですが。

 

苦手な理由としては、まずは絵柄がありますかね。嫌いではないのですが、なんかのっぺりして読みづらい。スクリーントーンとかあまり使わないからかな。それが味でもあるんですが。奥行きが感じづらいんですよね。なんか絵本みたい。

デフォルメされた女性の表現もあまり好きじゃないかも。ほとんど全員折れそうなほどくびれているか、それか巨漢かのどちらか。この辺りは、手塚治虫的表現を踏襲しているのかもだけど。

 

バトル漫画の部類のはずですが、ルフィを除いてアクションも微妙に感じています!

ルフィのゴム人間という設定と、それに付随したユーモラスなアクションは、この作品のヒット理由の一つといって間違いないですが、他がどうも・・。

 

ゾロの刀のシーンは、なんか(ダサい)技名を叫んだらもう切り終わってますよね。しかも違いが分からない。飛び道具とか出始めたし。口の刀もまあ相手に当たることはなさそう。サンジも似たようなもんですよね。よく分からん(ダサい)技名絶叫→もう蹴ってる。まぁ能力バトルの中で、ただの剣とケリが入ってる時点で、中々描写が難しいのかも知れませんが。

あと、ナミとかウソップとかの弱キャラを、強敵との闘いに放り込んで、なんとか勝たせる件もあまり好きじゃない。

少年マンガ、しかもファンタジーに過剰にリアル感を求めるのは野暮とは承知ですが、緊迫感や納得感は欲しいんですよね。味方を丁寧に登場させようとするあまり、敵キャラが蔑ろになっている気がする。そう、敵キャラがあまりカッコ良くないんだよなぁ。クロコダイルと大将達は、中々迫力あったえけど。

 

能力バトルなら、ハンター、幽白、ワルトリ、結界師、ARMS、ヒロアカ、ナルトとかの方がいいかな。剣戟の表現ならあずみ、ベルセルクとか(キングダム、バキ、バガボンド、セスタスはまたジャンル違いか)。冒険譚としては、マギの方が世界観が凄まじい。技に特化するなら、るろ剣的表現もアリだったかも。

バトルではなく、ストーリーがメインなのかも知れませんが、そうすると緊迫感のないバトルは尺のムダ感がしてしまう。能力設定の気合入れ感は、大分ルフィに偏ってますよね。

 

さて肝心のストーリーですが、かいつまむと「宝物を目指して、仲間を増やしながら島々を渡っていく」ってなもんですよね。込み入っている話が優れてるとは限りませんが、シンプル過ぎてどれだけ読んでもストーリー展開に驚くことはなかったなあ。

そして最も受け付けなかったのが、サンジとかチョッパーのイベントが泣けるという世論(笑)。正直、イヤ別にって感じだし、ここら辺はワンピースファンの言動に白けてしまっただけかも知れない。人の感想など知らずに、イチエピソードとして読み流していれば良かったかも。

 

その他のエピソードもなあ。クジラが50年待ってるとか、巨人が100年戦ってるとか。人魚姫が10年こもってたり、ガイコツが数十年さまよってたり。やたら経過時間の長さによって美談みたいになってるけど、それはピンと来ない。

全員問題解決能力なさすぎじゃないか?ってかバカじゃん。主人公達が訪れるまで、押しなべて停滞させておいて、停滞期間の長さでエピソードの重さを表現する。ちょっとそういうインスタントな感動は受け付けない体質です。ってかそこに至るまでの境遇が浅すぎて可哀そう。

 

イチャモンだけで、とんでもない文字数になりそうなので、そろそろ楽しめた部分も!

作品通じて一貫しているテーマとして「権力への反駁」があると思います。自分たちの目的を阻むものがあれば、それが王様だろうと神様だろうと、決して後に引かない。

そうしたところに、読者はカタルシスを感じるのだろう。

 

ちなみに、ワンピースが好きと言っているオッサンは、大概あまり好きじゃないことが多かったような。漫画でカタルシスを得るだけ得て、現実では力あるものにおもねるだけなんだもの。

作品を見て、スカッとするだけの楽しみ方もあるかも知れんけど、オッサンが少年マンガ読んでそれだけじゃなあ。現実に何らかの形で昇華しないコンテンツの摂取なんて、虚しくないかな。

そりゃ大人なんだから、マンガとかドラマみたいに正面切ってカッコ良く向き合える人間なんて限られるだろうけども、誰だって何らかの形で不条理と戦うことはできると思うんです。

 

脱線しましたが、他にいい所は・・・。

ロビンを助けに行くエニエスロビーの辺りは盛り上がりましたね!でも無人のメリー号が、都合良く現れるのは無理があってちょっと。ウォーター7の大工の一人が、麦わら達をサプライズ感動させようと、無人を装ってメリー号に最後の航海をさせるとかなら良かったのに。その演出に、ロビンだけ気づいちゃうけど、ウソップ達を慮って敢えて言わないとか。

 

インペルダウンからの戦争編は、これ以上ないくらいの迫力でしたね!あれ以上のエピソードを描くことができるのか疑問です笑。

 

今の所、ストーリー的には平べったい印象ですが、もっと短期スパンで黒ひげとかドラゴンを本筋に絡ませて行くと、作品としては内容が濃くなるのかも知れない。やたらサブエピソードで冗長になっているのは、作者の性格故なのか、集英社の悪しき風習なのか。空島とゲッコーモリアは長くて退屈で拷問だった。

 

本作のヒットの最大の理由は、全世代向けだからでしょうね。小数の自分みたいなオタクのみが、イマイチはまらないですが、市場規模から見たら微々たるもの。

後は、それぞれ推しメンが持ちやすいところですかね!個々のキャラ一人一人に、必ずセリフを言わせる。途中で死んだり脱落することがほぼないから、安心して推し続けることができる。そして、それぞれに必ず見せ場を作る。これは女性ファンの獲得に、非常に有効だと思います。

 

今まで何となく読めなかった人でもアプリなら結構いけるかなと。隙間時間にサクサク読めるし、面白くない部分は流し読みできる。今止めたら、二度と手に取ることはないと思って気合いで読んだら、何とか70巻くらいまで読めた。ある程度読み通せたことで、苦手だった理由も俯瞰して分析できたし、人気の理由もなんとなく分かって良かったです。

読まず嫌いだった人も、騙されたと思って読んでみては。