ザ本ブログ

読書をメインに。他、雑記などをアップしていきます。

岳 / 片山修

本当に久しぶりにマンガを読んでショックを受けた。

たまに読みかじってて、面白いなあとは思っていたんですが、最後まで一気読みしたのは初めてです。

 

長野県を舞台とした登山と山岳救助の話なんですが、雄大な自然の描写が実に美しい。ほとんどが一話完結なので、取っつきもいいですね。ただ、最後2~3巻は必ず通しで読まなければならない。

 

クライマー達はハイキングから、冬山登山、ロッククライマーなど実に多様なので、ストーリーの性質も、クライミングレベルに左右されます笑。ほっこりしたものから、厳しいものまで。

 

ただ、救助をメインとしてるので、人はかなり死にまくります!!自分はハイキングはするので、本作を読んで行ってみたくなりますが、初心者は行く気がなくなるほど恐ろしい笑。死に方が、結構エグいんですよねえ。それだけリアルだってことだと思うけど。

 

本来であればかなりシリアスな感じになってしまう作品なのですが、主人公の三歩が底抜けに明るいので、毎度救われます。どんな人間とも分け隔てなく接して、一人で遭難者を助ける力と技量。そして山にテントで一人で住んで、お金はいつもない笑。

 

都会の生活に疲れた人が読むと、自分がちっぽけに思えます。だからといって、いきなり準備もせずに山に登らないでくださいね。都会の人がいきなり登山するエピソードでは、大概遭難して、三歩に助けられたり死んだりしてます笑。

 

魅力的なキャラクターが多数登場しますが、サブ?キャラでとても印象的なのが、小学生のナオタです。彼は父子家庭だったのですが、父親が山で事故死してしまうんですね。その父の救助を試み、死に際に立ち会い、ナオタが遺体に対面する時にいたのが三歩です。

とても悲しいエピソードだったのですが、その後祖父母の元に身を寄せたナオタを気にして、ちょくちょく三歩がお兄さん的な役割でナオタと会ったりするんですね。そのやり取りがとても温かく、物語の重要なスパイスになっています。

 

終盤は、マンガ史に残る衝撃的な展開。自分は未だに心に何かが突き刺さった感じがします。これは一言もネタばらしできないですね。ぜひぜひ、読んでみて欲しい。