ザ本ブログ

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お~い!竜馬 / 小山ゆう

なぜ今更「おーい竜馬」なのかというと、先日「AZUMI」(あずみの続編)を読む機会があったんですよ。
AZUMIはまあまあ好きですが、それほどでもないです。でも、坂本龍馬が少しだけ登場するシーンがありまして、それがすこぶるカッコ良かったんですよね!
北辰一刀流免許皆伝の剣の達人なのに剣は抜かず、肩ひじ張らない愛嬌さで人を引き付ける。

 

出た回数はわずかなのに、とても引き付けられました。そして作者の竜馬愛を感じずにはいられなかった笑。

これはもう、「おーい竜馬」を読むしかないなと。そしてさっそく読破。

 

結論から申し上げますと、最高の逸品でございました。
子ども時代の序盤は、さすがに迫力に欠けてやや忍耐を求められますが、ある事件が起こり竜馬が意識を改めた辺りからは、その魅力を存分に発揮し始めます。


絵柄が古いのは、自分は気にならなかったですね。そもそも時代劇というのもありますが、アクションの描写が、明快で迫力があるので、現在の作品に全く見劣りしません。
ってかこういう剣術の描写をする人ってすごいですよね。自分がやったことなければ、中々こうは描けないと思うんですが。玄人から見ても、剣術的に正しい動きをしているのだろうか。


印象的なエピソードはいくつかあります。
作者としては、「世界の海援隊をやるかいの」辺りが最高潮なのでしょうが、自分は岡田以蔵がシーンが一番刺さりました。とは言え、かなり盛った感はありますが。
剣術には優れているが、人間的にはかなり幼い以蔵が、処刑の日を恐れながら投獄されている時に、乙女姉さんから渡された手紙の内容がグッと来ましたねえ。
それに勇気づけられた表情をしたかと思えば、処刑で牢から引きづり出される時には、獣のように怯える以蔵。
その素直さが、哀れみを誘うのです。
そして河原での処刑の際に、以蔵が乙女姉さんのために見せた、最後の意地!ほぼ丸腰なのに、帯刀した武士を狼狽えさせる気迫と技術。震えましたね。ここが、自分が一番震えた瞬間でした。竜馬ではないという笑。
以蔵さんカッコ良すぎ!って思って翌日Wikipediaで調べてみたら、作中の人物とは打って変わって、中々のクズ人物でございました。いいんです、創作なんだから。俺の感動はウソじゃない。ここが歴史マンガの難しいところ。


あとは、竜馬が亡くなった同胞の亡骸を埋めたあとに、「俺の背中にしがみつけっ!」ってくだりも最高でした。
あんなセリフ、言ってみたい。
作品が世に出てから時間が経過しているので、その後の研究で史実と違う部分も出てきてるだろうし、作者の思い入れでゆがめられた人物像もあるでしょうが、それはさておき一つの作品として、存分に楽しめます。
勝海舟との最初の別れのシーンも良かったなあ。通信手段が発達した現在と違って、別れのアイサツも命懸けってね。不便さに色づけられたドラマが羨ましいとちょっと思ってしまう現代人。駅の待ち合わせですれ違うカップルとかね。話はそれましたが、「お~い!竜馬」ぜひ読んでみてください。